ガイド一覧

ディクテーションのミス 12,932 個を数えたら、聞き逃していたのは「知っている単語」だった

64 か国・325 人の英語学習者が書き取った 14,039 文のデータです。いちばん聞き逃された単語は is、the、a、it、to。そして実際の話し言葉では、ミスの半分以上が「そもそも聞こえなかった」単語でした。

October 17, 2026

英語を勉強している人なら、ほぼ誰もが経験する瞬間があります。動画を見て、半分くらいしか聞き取れない。字幕をつけてみると——全部知っている単語。

では、何がうまくいかなかったのでしょう。語彙不足、話すスピード、なまり……どれももっともらしく聞こえます。私たちには、推測ではなく実際に数えて確かめる手段がありました。

Dictation Trainer は、すべての解答を単語単位で採点します。元の文の各単語は、正しく聞き取れたか、抜け(その位置に何も書かなかった)、聞き違い(別の単語を書いた)、綴りミス(単語は合っているが綴りが違う)のいずれかに判定されます。つまり練習のたびに、どの単語を、どう聞き逃したのかが正確に記録として残ります。

その記録を、すべて集計してみました。

1 文の単語単位の採点:the が抜け、every day が everyday と聞き取られています。

何を数えたのか

  • 64 か国の学習者 325 人(多い順にベトナム、アメリカ、タイ、韓国)
  • 14,039 文、採点した単語は 90,584 語、期間は 2026 年 7 月〜10 月
  • ミスは 12,932 個。内訳は次のとおりです。
ミスの種類回数割合
抜け——何も書かなかった5,31241%
綴りミス——単語は合っているが綴りが違う4,34834%
聞き違い——別の単語を書いた3,27225%

数を表す単語(one、seven、twenty……)は集計から外しました。seven を「7」と打った人は、完璧に聞き取れているからです。集計方法と限界は、記事の最後にまとめています。

発見 1:いちばん聞き逃されるのは、いちばん短い単語

ミスが多かった単語トップ 10 です。

順位単語ミスの回数
1is509
2the454
3a415
4it329
5to260
6in210
7you200
8I199
9and171
10are160

辞書を引くような単語は、ひとつもありません。

視野を広げても傾向は同じです。文中に出てきた最もよく使われる 100 語が、学習者が聞いた単語全体の 65% を占め、ミス全体の 51% を占めていました。リスニングのミスの半分は、初心者でもすでに「知っている」単語で起きているのです。

これが「字幕をつけたら全部知っている単語」の正体です。単語を知っているのは本当です。ただし知っているのは、書かれたときの姿。話し言葉の is、the、a、to は、綴りどおりに発音されることはめったにありません。短く弱い音に縮まり、前後の単語にくっついてしまいます。耳は辞書どおりの発音を待っているのに、その形ではいつまでも現れないのです。(単語は全部知っているのに、文になると聞き取れない理由で、原因となる 3 つの音の変化を詳しく説明しています。)

発見 2:短い単語は「消え」、長い単語は「綴りを間違える」

短い単語と長い単語では、間違え方がまったく違います。

単語の長さミス率最も多いミス
1〜4 文字11〜13%抜け(約半分)
5〜6 文字15〜18%綴りミスが増え始める
7 文字22%綴りミス
8 文字以上30%綴りミス(46%)

長い単語のほうが間違えやすいのですが、間違えたときは、たいてい聞こえてはいて綴れなかっただけです。短い単語は間違える頻度こそ低いものの、間違えたときはたいてい丸ごと消えています。3 文字以下の単語では、ミスの 54% が「単語があるはずの場所が空白」でした。

しかも短い単語はどこにでも出てくるので、ミスの総量ではずっと多くなります。別々の 2 つの問題には、別々の対策が必要です。

  • 長い単語は、綴りと語彙の問題です。単語カードや読書が役に立ちます。
  • 短い単語は、リスニングの問題です。どれだけ読んでも解決しません。すでに読めるのですから。

発見 3:実際の話し言葉では、ミスの半分以上が「聞こえなかった」単語

私たちの文の多くは、短くはっきり読み上げられたレッスン用の文です。一方で学習者は、インタビューやポッドキャスト、Vlog など自分で選んだ YouTube 動画を取り込み、1 文ずつディクテーションすることもできます。この 2 つを比べると、違いははっきりしています。

レッスンの文実際の YouTube 音声
採点した単語数67,51223,072
ミス率10.7%24.8%
ミスに占める「抜け」32%52%

自然な話し言葉では、ミス率が 2 倍以上に跳ね上がり、ミスの半分以上が単語ごと消えたものでした。YouTube 動画でいちばん聞き逃された単語は? the、a、I、to、is、and、you、it。先ほどと同じリストが、さらに悪化しただけです。

(公平のために補足すると、取り込まれる動画は全体的に難しめなので、ミス率の上昇がすべて「自然な話し言葉」のせいとは言えません。ただ、ミスが「抜け」に偏っていくのは、短い単語がさらに弱く発音されるときにまさに予想されることです。)

発見 4:何度も繰り返される混同

「聞き違い」——学習者が別の単語を書いたケース——は、いくつかのパターンに集中していました。

元の文学習者が書いたもの回数
a ↔ theもう一方の冠詞150
every dayeveryday37
let uslet's31
tooto28
you areyour19
any moreanymore18
herehear13
what iswhat's12
knowno8

単語単位の採点:元の文は the garage なのに、a garage と書いています——データの中で最も多い混同です。

目を引く点がいくつかあります。

  • 耳にとって、a と the はほぼ区別できません。 普通の速さではどちらも短く弱い音節に縮むため、聞き間違えやすく、学習者は文法的にしっくりくるほうを書き込みます。データ全体で最も多い混同です。
  • 元の文にない短縮形が聞こえてしまいます。 let us が let's に、what is が what's に、you are が your(you're と同じ音です)に。速い英語は縮まると脳が学習し、それを当てはめすぎているのです。
  • 同音語は、耳ではなく文脈の問題です。 too/to、here/hear、know/no は発音がまったく同じ。正しく書くには文の意味を理解するしかないので、この種のミスは学習の初めではなく、後半まで残りがちです。

では、どう練習するか

1. 短い単語を意識して数える。 文を聞き直すときは、意味はいったん脇に置いて、単語の数を数えてみてください。原文が 11 語なのに 9 語しか聞こえなかったなら、足りない 2 語はほぼ確実に上のリストの中にあります。ディクテーションは仕組みとしてこれを強制します。「ただたくさん聞く」より効果があるのはそのためです。(英語ディクテーションのやり方で、15 分の練習の組み立て方を紹介しています。)

2. 短い単語の「見た目」ではなく「聞こえ方」を覚える。 to はたいてい軽い「タ」、and は「ン」だけになることが多く、are は前の単語に溶け込みがちです。弱く縮んだ形を知っていれば、聞こえるようになります——しかもそのリストは長くありません。

3. 長い単語のミスは、リスニングではなく綴りの問題として扱う。 聞こえたのに綴れなかったのなら、必要なのは単語リストで、音声をさらに聞くことではありません。

4. レッスンが楽になったら、実際の話し言葉へ。 おおまかな目安として、レッスンの文で 90% 前後が取れるようになったら、耳は次の段階に進む準備ができています。短い単語が最も難しくなるのが実際の話し言葉であり、あなたが本当に聞き取りたいのもその英語のはずです。(短い動画ほど難しい:英語リスニング用の YouTube 動画の選び方)

集計方法と限界

  • 各学習者の各文について、最新の解答を集計しています。やり直した人は、たいてい良くなった後の解答が残るため、誤差があるとすれば、最初に聞いたときの聞き逃しを少なめに見積もる方向です。
  • 数を表す単語は除外し、元の文にないのに学習者が書き足した単語(663 件)も除外しました。
  • レッスンの文の多くは短く A1〜B1 レベルで、学習者は社会人の独学者が中心、国別ではベトナムが最多です。これは私たちの学習者の姿であって、すべての英語学習者を代表するものではありません。
  • 対照実験ではなく、利用データの分析です。学習者や教材が変われば、具体的な割合も変わります。

自分で確かめてみる

自分がどの単語を聞き逃しているかを知る最短の方法は、何文か書き取ってみて、何が消えたかを見ることです。登録なしで無料のレッスンを始めることもできますし、YouTube 動画をディクテーションのレッスンにして、1 文ずつ練習することもできます。どの解答も、上の例のように単語単位で採点されます。